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新型コロナウイルスワクチン接種について
2021.4.30
循環器内科 大木貴博
【市川市ワクチン接種状況】
市川市では令和3年3月から医療従事者への接種が始まり、4月末からは高齢者施設での接種が開始される予定です。5月半ばには高齢者接種の予約開始、5月下旬から実際に接種が始まることになっています。6月下旬からは医療機関ではなく、大規模な会場で集団接種も計画されています。
【ウイルスの変異とワクチンの効能】
コロナウイルスは非常に突然変異しやすいため、ワクチンを作っても人々に接種した頃にはウイルスは変異してしまっていて、せっかく作ったワクチンの効果は低い可能性があります。現在使用されているファイザー製のワクチンは令和2年に流行した初期のコロナに対するワクチンです。それが今流行しているウイルスにどの程度有効かははっきりしていませんが、全く効果が無いわけではなく、ある程度は有効と考えられています。ワクチン接種率が高いイギリスやイスラエルの動向が参考になります。
【ワクチン接種の意義】
効果が弱くなったとしても、なるべく多くの人々がワクチン接種を受けることで、全体としての流行は減少に転じると考えられます。すなわち、効果が100%でなくても、ワクチン接種を受けたのに感染してしまう人がいたとしても、社会全体としては、実行再生産数は減少し、時間がかかったとしても、収束の方向に向かいます。多くの人が接種を受けることに意義があります。もちろん受けたくない、受けるのが怖いという方は受けなくても構いません。ワクチン接種はあくまで任意のものです。
【ワクチンの副反応】
新型コロナウイルスに対して作られたワクチンは、言わば新型のワクチンで、これまでのワクチンより副反応が少し多く見受けられます。注射自体の痛みは従来のワクチンと同様、ほとんど軽微なものですが、人によっては接種してから数時間以内に副反応が現れることがあります。接種30分以内に強いアレルギー反応を起こす場合もあります。過去に薬や虫刺されなどで重篤なアレルギー反応を経験している人では、今回のワクチンで重篤なアレルギー反応を生じる可能性が、経験していない人より数倍高いと推察されます。副反応が出るか出ないかは、接種してみないとわかりません。強いアレルギー以外の副反応として、接種数時間後に注射部位周囲の痛み、だるさ、頭痛、発熱、全身の関節痛など、風邪を引いたときのような症状を来す場合があります。ほとんどの症状は1日程度で完全に消えてしまうので、いっとき我慢する、解熱鎮痛剤などで耐えるなどできますので、さほど心配は要りませんが、可能であれば、接種翌日には仕事を休む、予定を入れないなどのつもりで接種日を予約すると良いでしょう。万が一重篤な副反応が出現した場合には、費用などは国が救済してくれる制度があります。
【当院のワクチン接種】
大変申し訳ありませんが、今のところ当院ではインフルエンザワクチン同様、コロナワクチンも接種を行う予定はありません。別医療機関での個別接種、または集団接種で受けて下さい。
【ワクチン接種を受けるときの注意】
循環器内科に通院している方のほとんどは、血液サラサラの薬を飲んでいます。血液サラサラを飲んでいて、とても運が悪いと、注射部位周辺に内出血を生じるかも知れません。腫れたりアザができたりしますが、それも数日で自然に消えるので、ワクチン接種を受けるメリットと比べたら、そんなデメリットは遙かに小さいものです。接種日に薬を休むようなことも不要です。ワクチンを打つのが危険な病状の方もいますが、それは風邪を引いただけで命が危うい瀕死の状態の人です。普通に生活している人はみな接種可能と考えられます。
【問診票の記入】
問診票の質問に「現在、何らかの病気にかかって、治療(投薬など)を受けていますか。」というところがありますが、そこは□心臓病にチェックを入れて下さい。高血圧のみの方も心臓病にチェックを入れて構いません。血液サラサラの薬を飲んでいる場合には□血をサラサラにする薬にチェックを入れ、薬の名前がわかる場合には( )内に記入します。そして「その病気を診てもらっている医師に今日の予防接種を受けてよいと言われましたか。」の質問には□はいで回答して下さい。
【ワクチン接種後】
ワクチン接種を受けても、免疫ができあがって防御力が発揮されるのには1週間以上かかります。またワクチンを打っても感染する可能性はあります。万が一感染したとしても軽症で済むと言われていますが、それでもワクチンを打っていない人にうつしてしまう可能性もあり、接種後も手洗い、マスク、換気、密の回避など、感染対策はしっかり続けることが必要です。
その他何かご不明な点がありましたら担当医にお尋ね下さい。